シネマ執事

ティッシュみたいだね 映画って

2020( 3 )

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永井 聡監督 「ジャッジ!」 2014 感想

永井 聡監督 「ジャッジ!」 2014 感想

広告という虚業 「美味しいです、買ってください。」広告の目的はそういうことだが、そんな言葉で消費者のこころは動かない。思わず漏れる笑み、爽快感、甘酸っぱい気持ち、暖を取った時のほっこり感、動物の赤ちゃんって可愛い、などなど。消費行動の周辺に寄り添う感情を狙い撃ち、ハートを鷲掴みにしなければいけない。 つまり、虚業だ。実...
鈴木清順監督 「ツィゴイネルワイゼン」 1980 感想

鈴木清順監督 「ツィゴイネルワイゼン」 1980 感想

抽象芸術としての映画 この映画には、ストーリーがない。鈴木清順が嗜好する風景や、言葉の断片を、幾重にも折り重ねているだけだ。私は高校生のとき初めて「ツィゴイネルワイゼン」を観て、驚いた。子供のころ、映画やドラマは「お話」だと思っていた。魅力的な主人公が颯爽と活躍したり、懊悩したりする。家族や恋人との関係は大きな歓びを産...
佐藤 純彌監督 「君よ憤怒の河を渉れ」 1976 感想

佐藤 純彌監督 「君よ憤怒の河を渉れ」 1976 感想

ヒーローとしての高倉健 高倉健こそが、ヒーローだ。男の中の男だ。東映退社後第一作「君よ憤怒の河を渉れ」は、1976年、高倉健45歳の作品である。 高倉は、検事を演じる。東映時代、主にヤクザを演じてきた高倉だが、知的エリートの颯爽とした背広姿もサマになっている。高倉検事は、ある日、強盗傷害の容疑で逮捕される。全く身に覚え...
黒沢清監督 「旅のおわり世界のはじまり」 2019 感想

黒沢清監督 「旅のおわり世界のはじまり」 2019 感想

トップアイドルとしての前田敦子 前田敦子は、美人ではない。トップアイドルなのに美人ではないのだ。結婚して子供もいるので、もうアイドルは卒業している、と思う人もいるだろう。女優への転身に成功していると。しかし、AKB48の中心メンバーだった時代も、決して美人ではなかった。少女の頃から美貌ではなかったし、大人の色香が出てく...
市川崑監督 「破戒」 1962 感想

市川崑監督 「破戒」 1962 感想

カミングアウトへの戒め 「戒め」は、部落民であることをカミングアウトするな、という掟だ。「破戒」とは、この戒めを破ること。小学校の教師である市川雷蔵は、教室で生徒に向かって「破戒」する。清廉なこころを持つ雷蔵のカミングアウトは、生徒や教師、周囲の人々のこころを動かし、差別の愚かさを皆が認識する。 部落差別は人種差別と違...
映画『ジョン・ウィック』 感想

映画『ジョン・ウィック』 感想

キャスト ◆ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス) ◆ヴィゴ・タラソフ(ミカエル・ニクヴィスト) ◆ヨセフ・タラソフ(アルフィー・アレン) ◆アヴィ(ディーン・ウィンタース) ◆グレゴリ(オマー・バーネア) ◆ヴィクター(トビー・レナード・ムーア) ◆キリル(ダニエル・バーンハード) ◆クズマ、ニコライ(キース・ジャーデ...
followers

FOLLOWERS-フォロワーズ- 感想 ネタバレあり

主なキャスト ◆奈良リミ役・・・中谷美紀◆ 百田なつめ役・・・池田エライザ◆ 田嶌エリコ役・・・夏木マリ◆ 群青あかね役 ・・・板谷由夏◆ サニー役・・・コムアイ◆ sayo役・・・中島美嘉◆ 望月民生役・・・浅野忠信◆ 野間ヒラク役 ・・・上杉柊平◆ ゆる子役・・・金子ノブアキ◆ 和田博嗣役・・・眞島秀和◆ 季生役・...
クリーピー 偽りの隣人

黒沢 清監督 「クリーピー 偽りの隣人」 2016 感想 ネタバレあり

サスペンスと人間心理 奇怪な連続殺人。犯罪心理学者の刑事時代の過ち。転居先の怪しい隣人。被害者遺族の可憐な少女。米国のサスペンススリラーのような道具立てだ。巨匠、東野圭吾もそうだが、この映画の原作者である前川裕も、米国のスリラー小説や映画をたっぷり吸収しているのだろう。前川は、比較文学を専門とする法政大学教授でもある。...
セックスチェック第二の性

増村保造監督 「セックスチェック 第二の性」 1968 感想

女性の証明 「セックスチェック」とは、スポーツの女子競技にエントリーするための、「女性証明」だ。いくつかのスポーツ競技は、男子競技と女子競技に分けて実施される。これは、男性のほうが運動能力が高いことが前提となっている。個人の記録が数値にて測定される陸上競技や水泳では、男性のほうが高い水準を示すのが周知の事実だ。 しかし...
シン・ゴジラ

樋口真嗣監督 「シン・ゴジラ」 2016 感想

国難へ立ち向かうリアリズム 日本人は、2種類に分かれる。日本国が好きな人と、嫌いな人だ。私はこの映画を観て、更に日本が好きになった。 「シン・ゴジラ」は、ゴジラの上陸という国難に立ち向かう人々を描いている。昭和のゴジラシリーズで主人公を務めたのは、科学者やジャーナリストだった。若きジャーナリストは、真相を掴むために奔走...

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