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映画『砂時計』レビュー ネタバレあり

映画『砂時計』レビュー ネタバレあり

東京と島根を舞台に男女の青春をえがいた「砂時計」は、子どもから大人になるにつれて変わっていく家庭環境や揺れ動く思いを映画にしています。映画を見ると島根に行ったことがない人でも切なくてどこか懐かしい想いになる、そんな砂時計について紹介します。

主役や他のキャストについて


主人公の水瀬杏を演じたのは音大出身の「松下奈緒」さん、その杏の中高生時代を演じたのは「夏帆」さんです。幼い頃に家族が崩壊してしまう難しい役どころを夏帆さんが見事に演じきっています。相手の北村大悟を演じたのは「井坂俊哉」さんで、爽やかながら力強いイケメンの大人の男性役がはまっています。

中高生時代を演じたのは「池松壮亮」さん、杏の母親役に「戸田菜穂」さんなど演技派の子役や俳優・女優さんが多く登場しています。子供時代から大人までをえがいているので登場人物も多いのですが、それぞれの配役が適役で映画を盛り上げてくれています。

あらすじや見どころ


14歳の杏は両親の離婚を機に母親の美和子の故郷である島根県に帰ってきます。今までと違う環境に慣れていない杏を支えてくれたのが、近所に住んでいる大悟や藤・椎香でした。ですが祖母との生活に慣れない美和子は杏を残して自殺してしまいます。父親の正弘に引き取られるようになり、東京に転校します。その後大悟と杏は遠距離恋愛を続けますがお互いの関係がうまくいかず傷つけてしまうことから別離の道を歩き始めます。その後再会した二人でしたが…。

子どもの頃に約束したそれぞれの思いが大人になって状況が変わってからも、思い続けることの難しさ、遠距離恋愛ならではのお互いの葛藤など見どころはたくさんあります。遠距離になったときの約束の砂時計は?恋愛映画ではありますが最後まで見逃せない展開となっています。過去・現在・未来を繋ぐラブストーリーの杏と大悟はどうなるのでしょうか。

主題歌のタイトルや歌手は?


映画ではいきものがかりの「帰りたくなったよ」が主題歌です。通算9枚目のシングルでもあり映画のために描き下ろしたものです。そのため映画の物語の展開とリンクしていて、映画のために切なく温かいバラードナンバーをと思い提供したそうです。いきものがかりならではのサウンドが映画の雰囲気をどこまで表現しているのか、映画と一緒に楽しんでほしいものです。サビの「帰りたくなったよ、君が待つ家に」はまさに砂時計をイメージした歌詞といえるのではないでしょうか。

ロケ地はどこ?


東京と島根をメインにした物語なので、島根県のあちこちで撮影されていたようです。例えば主人公の杏が母親と一緒に訪れて砂時計を購入するシーンは「仁摩サンドミュージアム」で、映画の中に登場する一年計や砂のオブジェなどもこの博物館のものを使っています。

杏と大悟が一緒に縁結び祈願に訪れたのが「出雲大社」で映画の公開後は二人のように縁が結ばれますようにと訪れる人が増えたのだとか。大悟が母親をなくし憔悴している杏に「俺がここにおるっちゃけん」と約束するシーンで使われたのが「飯谷」で夏になると田んぼの青々とした稲が美しく田舎の雰囲気を醸し出してくれる場所です。

他にも杏たちが林間学校で訪れていた「断魚渓谷」や、東京から帰ってきた杏が大悟とすれ違う「三瓶山」など、島根県でしか見ることのできない、美しい景色が映画の中で散りばめられています。豊かな自然の中で出会った杏と大悟、島根の雄大な自然が造り出す映画といっても過言ではありません。

原作はあるの?


2003年に月刊ベツコミ(小学館)にて連載されていた少女漫画が原作となっています。人気マンガ家の「芦原妃名子」よる同名作品になり3年2ヶ月にもなる長期連載でした。砂時計の人気が加熱するとドラマ化され最後に映画化されました。昼ドラだったにも関わらず異例の高視聴率を誇りました。中高生はもちろん大人にも絶大な支持を得る漫画で、連載が終わってからも名作だと話す人も多い作品です。

出演者の演技について


砂時計は比較的フレッシュな俳優・女優さんを使っていて主演の松下奈緒さんは、自身がピアニストとしてのイチ面を持っているので映画の中でもメインテーマの一部を演奏しています。演技力にも定評がありますし強い中にも弱さを持った主人公を見事に演じています。また砂時計で重要な子どもの頃のシーンに夏帆さんや池松壮亮さんなどの代表作も多く定評のある子役を使ったことにより、家族に翻弄されながらも生きていく姿を見事にえがいています。

ラストや映画全体の考察・解釈


母親の自殺というあまりに過酷な環境にいながらも、多感な時期を過ぎ大人の社会に揉まれ生きていく主人公からは、強く生きる前向きな姿を教えてもらえます。またそんな環境の中でも常に心にいる一人の人物を忘れずにずっと思い続ける気持ちなど純愛ならではの本当に相手のことを思う優しさを考えさせられます。

いながらも、多感な時期を過ぎ大人の社会に揉まれ生きていく主人公からは、強く生きる前向きな姿を教えてもらえます。またそんな環境の中でも常に心にいる一人の人物を忘れずにずっと思い続ける気持ちなど純愛ならではの本当に相手のことを思う優しさを考えさせられます。

お互いの為に別の道を歩むことを決めた杏と大悟がそれでもお互いを思いあい、惹かれて再会する姿に感動すら覚えます。自分の弱い部分としっかりと向き合いながら成長する主人公に心が打たれること間違いなしです。本物の愛情について考えさせられる映画だと思います。

監督は誰で、他にどんな作品を作っているか


過去・現実・未来の壮大な流れで進んで行く物語をたったの2時間でまとめなくてはいけないのは至難の業です。そんな砂時計の監督を担ったのが「佐藤信介」監督です。新鋭でもり01年に「LOVE SONG」でデビューしたばかり、砂時計の監督を務めた当時知らない人の方が多かったのではないでしょうか。その後「春の雪」、「県庁の星」などの大ヒットシリーズの脚本を手がけるなどして実績を積んでいきました。

砂時計は大ヒットするだけの理由があります。幅広い世代が見てもそれぞれに違った感情移入ができますし、忘れていた純愛を思い起こさせてくれるはずです。子どもの頃に約束したことなんて大人になってしまえば、毎日の生活の中で忘れてしまうものです。どこか懐かしい気持ちになりながら砂時計の世界観を楽しんでみてくださいね。島根県の美しい自然も必見です。


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