ネタバレ度:★★☆☆☆
人気ホラーアクションゲームのフルCG映画第三弾。
クリス、レオン、そして『バイオハザード0』以後、久しぶりの登場となるレベッカたちが、新型ゾンビウイルスのアウトブレイク事件に挑む!
アクションが! すごい!!(語彙力)
スターキャラクターたちの夢の共演
今回の主人公たちは超豪華。シリーズでも屈指の人気と戦闘力を誇るクリスとレオンが『6』に続いて共闘します。
クリスは『5』以降、急速にゴリラ化したのを踏襲し、本作でもパワーファイターとして暴れ回ります。
『1』では轢き殺されていただろう巨石を『5』では素手で押し戻したり、押し寄せるモンスターをワンパンK.O.してた頃よりはだいぶ弱くなったなと思いましたが、彼もすでに40代ですからね。英雄も寄る年波には勝てないのです。
ちなみに、『7』においては見た目もしぼんでしまい、『1』の頃の常識的なマッチョに戻ってしまいました。
これは狭い隙間を通り抜けるアクションの整合性を持たせるため、という大人の事情だそうです。
後述の敵役、アリアスは細マッチョのくせにゴリスと五角以上に肉弾戦をするという事実にものすごく違和感を感じたものですが、そこを脳内補完すれば納得できます。
大人の事情は怪物の耐久力すらも超えるのです。
バイオテロ対策の業界では生ける伝説として存在しており、他の機関からはやっかみに合ったりすることも多いようです。
しかし「化物になった自分の仲間や家族に銃を向ける覚悟をしておくことだ」と一発で黙らせる所に、過酷な現実を生き抜いてきた凄みを感じさせます。
肩を並べるレオン様は、これでCG映画フル出演。相変わらずファン以上に製作者の寵愛を受けまくっています。
『4』以降、すっかりイケメン化し、本作でも様々なアクションで魅せてくれます。
カッコよさのためなら公道でゾンビ犬と銃撃戦を繰り広げ、巻き込み事故を起こし、終いには手榴弾を使用することすら厭いません。
たぶん2~3人は死んでそうですが、コラテラル・ダメージというやつです。
まあ仲間が事故どころかビル数棟倒壊させたりしているので、これくらい可愛いもんです。
今回は冒頭で多数の仲間を失っており、自暴自棄でやけ酒を飲んでいます。
『2』で恋人に振られたやけ酒で初出勤に大遅刻した頃から何も進歩していませんね。
リメイク版の『Re:2』でその黒歴史はなかったことにされましたが、本作では明らかに狙っています(笑)
溢れるスタイリッシュと三枚目感……それこそがお姉さま方をキャーキャー言わせるハードボイルドの美学なのです。
これにジルさんが加わっていれば、まさにドリームチームでした。当初はその構想もあったようですが、強すぎて半分の時間で話が終わっていたことでしょう。
さすがにそれはマズイと判断されたのか、ヒロインポジションは『0』以後約20年ぶりに登場のレべッカです。
彼女は前線を離れ、今は研究者としてバイオテロと戦っていました。
元々サポート要員ですしね。なのに一人だけ『0』『1』と2夜連続ダンジョン攻略していたのがおかしいのです。
当時は若干18歳の才女というロリコン設定でしたが、本作ではもうアラフォー世代です。
でもそんなことは全く感じさせないほど超キュート! 大人の女の余裕まで身につけています。
健気にマッチョたちに付いてきていたか弱さはどこへやら、あのクリスとレオンを叱咤し仲裁できるほどの器に成長していました。
しかし、サイコパスに目をつけられて酷い目に合わされてしまうところは、相変わらずヒロイン属性です。
ジルといいアシェリーといい、この世界のヒロインは攫われて人体実験される運命にあるようです……
助けに来たクリスに、泣きそうな顔でグッと親指を立てる仕草が『0』を彷彿とさせ、往年のファンは大歓喜です。
アキバ系オタクみたいなダサいバンダナ巻いていた頃とは大違いですね!(黒歴史)
そして今回の黒幕が、グレン・アリアスという裏社会で生物兵器を売り捌いている男です。
不意打ちとはいえ戦闘能力はクリスを下すほどであり、宿敵であったウエスカーにも勝るとも劣らない悪役です。
しかし、ま~これがはた迷惑な野郎でして。武器商人どころか、ただの破滅主義者なのです。
かつて結婚式の最中、無人爆撃機で妻と親類縁者全てを奪われ、その復讐のため、新型の『A-ウイルス』を使ってバイオテロを企てます。
しかもこいつ、レベッカが妻に瓜二つだったらしく、誘拐して強制結婚式を始めます。
見た目はスタイリッシュでブルジョアジーっぽいのに、中身はサイコなクソ野郎でした。レベッカへの仕打ちはサイコどころかただのDVみたいなもので、過去最高にムカついた敵キャラとなりました。
無駄にエロいねーちゃんやいつものガトリングガンおじさんの部下がいるのですが、どうやら同じく結婚式に参加していた友人だとか。
……うん、そりゃあ親族もろとも爆撃されるよね。やっぱり元からロクな連中じゃねえ。
そんな生粋の悪人たちが、復讐を大義名分にニューヨークに恐ろしいウイルスをバラ撒くのです。
新型ウイルスの脅威
シリーズ当初から厄災の元凶となるT(タイラント)-ウイルスは、作品ができるごとにいくつもの種類に派生をしています。
新陳代謝を過剰に向上させて生物をゾンビ化させるだけに留まらず、遺伝子変異や配合を促し、様々なモンスターを生み出してきました。
今回の亜種はA-ウイルス。アリアスは『この新ウイルスのゾンビは敵味方を区別できる!』と自慢げに披露します。
「なんかプラーガ(『バイオハザード4』以降、超活躍する寄生生物)っぽいな」と思ってたら、本当にそのDNAが組み込まれているようです。
おまけに複数のタイプを組み合わせて発病のタイミングや範囲をコントロールまで可能です。
これまでのものは、毎度アウトブレイクを起こして自滅したり、とてつもない時間やコストを掛けないと使い物にならないものばかりでしたからね。
兵器としてのクオリティがかつてないほど向上しています。
T-ウイルスの進化が止まらない……! ネメシスのことも……たまには思い出してあげてください……
あと今回のゾンビはダッシュしたり飛びかかってきたりもするので、その点でも地味に強化されています。
ロメロ系から 系への華麗なる変異です。まあ、それでも明らかにプラーガの方が使い勝手良さそうなんですけどね。
相変わらずこの世界の業者は趣味で生物兵器作ってるとしか思えません。
実際、アンブレラの創始者の動機はほとんど趣味みたいなもんでしたし。金持ちの道楽でアウトブレイクなんて起こさないで欲しいものです。
序盤、なぜ感染してすぐゾンビ化が始まっていた他の研究員と違い、レベッカだけはワクチンを注射する余裕があったのか、疑問に思った人もいると思います。
答えは簡単。バイオハザードの主要キャラクターたちは、全員T-ウイルスの抗体を持っているからです(公式設定)
元々T-ウイルスは10人に1程度が完全な抗体を持っているということなので、意外と感染力は強くないのです。
しかし当然弱ったり高濃度のウイルスに晒されれば感染します。
死んだキャラクターがゾンビ化したり、『3』にてジルが追跡者に直接ウイルスを注入されて感染したりしていました。
今回のウイルスは強化されており、しかも高濃度のガスとして噴霧されたため、レベッカも感染してしまったのでしょう。しかし、抗体があったためワクチンを打つまでの猶予はあったのです。
それでもかなりギリギリだったようなので、ウイルスの強力さが見て取れました。
といっても、
どのみちモブは問答無用で感染するんですけどね。フィクションの世界でも世は不公平なものです。
英雄たちの苦悩
「いったいこの戦いはいつまで続くんだ……」
『5』以降、終わらない化け物たちとの戦いに苦悩する様が描かれるようになりました。
一応クリスは『5』で乗り越えたようですが、レオンは前作のCG映画『バイオハザード・ダムネーション』辺りからうんざりしている様子です。
本作は時系列的には『6』と『7』の間になります。
つまり、もう彼らは15年以上命がけの殺し合いを繰り返しているのです。投げ出したくもなるのも当然です。
しかし、今回はいつもと少し違った結末を迎えます。
これまでのように、何とか最悪の事態だけは抑えた、という爆発オチよりはかなり救われる形でしょう。
何より、あのカプコンヘリが一度も墜落しなかったのですから。
英雄たちの活躍は確実に意味を成しているのです。
まあ、恐らくこれからも大人の事情で後から後からロクでもない悪党やクリーチャーが湧いてくるのでしょうけど。
僕らの楽しみのために、戦え! ヒーローたちよ!
COMMENTS
コメントはまだありません。