0Withコロナ 深作欣二監督が発する深いメッセージ 「復活の日」 1980佐々木 隆行2020年5月14日あらすじ 殺人ウイルスと核ミサイルの脅威により人類死滅の危機が迫る中、南極基地で生き延びようとする人々のドラマを描いた作品。 「愛は、人類を救えるのか?」MM88、その細菌兵器によって全世界は大パニックとなり、 氷に閉ざされた南極大陸に残さ...
0映画『ジョン・ウィック』 感想消費者Xの転身2020年3月25日キャスト ◆ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス) ◆ヴィゴ・タラソフ(ミカエル・ニクヴィスト) ◆ヨセフ・タラソフ(アルフィー・アレン) ◆アヴィ(ディーン・ウィンタース) ◆グレゴリ(オマー・バーネア) ◆ヴィクター(トビー・レナード・ム...
0山田洋次監督 「男はつらいよ お帰り寅さん」 2019 レビュー佐々木 隆行2023年3月21日堂々たる新作 裏切られた。これはノスタルジーではない。シリーズの名シーンがインサートされ、亡き寅さんを皆で懐かしがる代物だと思っていた。確かに懐かしんではいる。インサートシーンも多い。しかし、「男はつらいよ お帰り寅さん」は、「男はつらい...
0根岸吉太郎監督 「ヴィヨンの妻 〜桜桃とタンポポ〜」 2009 レビュー佐々木 隆行2023年3月23日戦後のリセット 戦争が終わり、兵役を解かれた男たちは、肉体労働に汗を流した。疲れた身体は、酒という刺激を欲する。映画の舞台となる居酒屋「椿屋」には、そんな男どもが集まってくる。「椿屋」が店を構えるのは中野、おそらくはサンモールの東側だろう...
0竹内昌男監督 「ジャンプ」 2004 レビュー佐々木 隆行2021年3月20日甘美なノスタルジー 別れた女ほど、甘いものはない。こっちが年を重ねても、彼女はあの時のまま、若く美しい。唇や指が、彼女の柔らかい身体の感触をはっきりと覚えている。出会った頃のときめきや、落したときの達成感、時折の小さな諍いや、別離のやるせな...
0市川崑監督 「病院坂の首縊りの家」 1979 レビュー佐々木 隆行2023年3月18日横暴で短絡的な男 病院坂の勾配は鋭い。遠くから観るとほとんど直角であるかのようだ。この坂を人力車が登る。周囲に緑はなく、色彩は灰色と薄茶色のみ。「病院坂の首縊りの家」は淡い色彩と鋭い構図の映画である。 オープニングのタイトルバックは、ジ...
0【2020年 最新】VOD(ビデオ・オン・デマンド)おすすめ10社比較adm2020年5月2日まえがき 定額でドラマやアニメを視聴できる動画配信サービス「VOD(ビデオ・オン・デマンド)」が流行しています。電車の中など移動時間にも、スマホでTV番組を楽しんでいる人の姿を見たことがある人も多いのではないでしょうか。 懐かしいドラマや番...
SF0樋口真嗣監督 「シン・ゴジラ」 2016 感想国難へ立ち向かうリアリズム 日本人は、2種類に分かれる。日本国が好きな人と、嫌いな人だ。私はこの映画を観て、更に日本が好きになった。 「シン・ゴジラ」は、ゴジラの上陸という国難に立ち向かう人々を描いている。昭和のゴジラシリーズで主人公を務めたのは、科学者やジャーナリストだった。若きジャーナリストは、真相を掴むために奔走...
アクション0根岸吉太郎監督 「探偵物語」 1983 感想80年代が本格化した年 1980年代とは、どういう時代だったのか。80年代末に冷戦が終了したり、昭和天皇が崩御したのは偶然ではない。加速度的に進化した文明は、1989年をピークに緩やかな下降期に入ったのだ。1980年代こそ、人類文明の絶頂期だった。21世紀の人間は過去のインフラをたっぷり享受するだけで、もう変革や向上は...
アドベンチャー0映画『野性の呼び声(2020)』感想 ネタバレあり「2020年の令和の時代にこれやるかね?」というのが一番最初の正直な感想です。 小説『野性の呼び声』は1908年に初めて映画化され、それ以降も何度も映画化されています。 多分、6,7回くらいになるんじゃないかしら。 ジャック・ロンドンの古典的な冒険小説の最新版であるこの映画は、フォックスの下で開発され、リロ&スティッチ...
ヒューマン0市川崑監督 「私は二歳」 1962 感想戦後社会という桃源郷 愛国心や伝統を尊ぶこころは、敵を憎悪するこころも培かってしまう。挨拶をしない人に薄っすら敵意を抱くがごとく。大航海時代以降の世界では、異民族の衝突が多発し、戦争の規模は劇的に拡大した。 日本も史上最大の戦争を闘い、史上最大の敗北を喫した。国民精神は致命的な打撃を受けたが、すぐさま復興に向けて立ち上...
ヒューマン0大島渚監督 「戦場のメリークリスマス」 1983 レビュー東洋と西洋 東洋と西洋。戦争と平和。秩序と混沌。体制と革新。右と左。大島渚は、対立する概念の相克を論じ続けた。後者に与する思想を饒舌に語るが、前者への洞察もないがしろにはしない。過剰に論理的であるからこそ、時には激情が露わになった。 「戦場のメリークリスマス」は、この大島的相克を寡黙に表現した最高傑作である。 1942...
ホラー0黒沢清監督 「叫」 2007 レビュー 殺風景な湾岸の荒涼 東京湾岸。高層ビルや巨大な橋梁と朽ちた護岸や廃墟が混在する地帯。改めて地図で確認してみると、埋め立て地の面積はかなり広いのだが、全ての土地が有効利用されているとは言い難い。 役所広司演じる刑事は、湾岸地域を管轄する警察署に勤務する刑事だ。彼の自宅もこの地域の古い団地であり、連続殺人事件もこの空虚な水...
ヒューマン0黒沢清監督 「トウキョウソナタ」 2008 レビュー ネタバレあり家族の解体 家族の絆。一家団欒。そんなものはもう失われた、と黒沢清は言いたいのではない。もとからそんなものは「あまり」なかったということを、ドライにそして少しユーモラスに提示してみせているだけだ。両親がいて子供がいる。しかし、そこに親子の代えがたい愛情があるとは限らない。むしろ性別や年代の離れた者どうしでは感性が異な...
ヒューマン0小津安二郎監督 「お早よう」 1959 レビュー ネタバレあり戦後社会という桃源郷 1959年、東京。多摩川の河岸の集合住宅。丸の内あたりに勤めるサラリーマン家族が軒を並べて生活している。専業主婦同士、子供同士の間でごく自然に近所付き合いが産まれ、平凡に暮らしている。 このコミュニティは、太古からの普遍ではない。日本の歴史が稲作と同時に始まり、農耕が長らく生産手段の基本であったこ...
ヒューマン0黒沢清監督 「アカルイミライ」 2003 レビュー ネタバレありとりとめない象徴の綾 黒沢清の映画では、ドラマチックな大団円に向かってストーリーが結束し、登場人物の心情が加速するような事態は起きない。象徴的な出来事は起こるが、すぐさま日常のなかに溶け込んでいく。状況は小さな驚きを巻き起こしはするが、ゆるやかに現状復帰する。 異相の露呈と現状復帰はランダムに発生するが、わかりやすい起...
ヒューマン0市川崑監督 「炎上」 1958 レビュー ネタバレあり抽象的な美とスタイリッシュなモノクロ映像 青年は、社会との不適合に直面する。社会は、ニューカマーをすんなりとは受け入れない。受け入れられるためには、具体的な利益を提供しなければならないし、害悪を与えない存在であることを証明しなければならない。 青年に利益を創出するスキルなどない。そのくせ社会に反抗的な態度はとる。社会人...
サスペンス是枝裕和監督 「三度目の殺人」 2017 レビュー佐々木 隆行2023年12月5日司法運営の是非 下打ち合わせ。根回し。一般の会社でもそうだ。会議でいきなり、ガチンコの議論はしない。そのほうが合意形成しやすいからだ。容疑者である役所広司は、幾度も証言を翻す。被害者の娘である広瀬すずは、裁判の方向性に合わない事実を告白す...